今回は、要望も多かった「拳銃無宿」の特集。*メアズ・レイグことランダル銃にまつわる秘話をお届けします。
「拳銃無宿」が本国でスタートしたのは、1958年9月6日。日本でも放送されていた、ロバート・カルプ主演の西部劇「トラックダウン」の一編が
CBS重役の目にとまり、スピンオフしたものである。当時のマックイーンは、映画にチョイ役出演する程度の、ほとんど無名の新人。
「俺にもチャンスが回ってきたぜ」とばかり、ブランクを使って聴力に支障をきたすまでランダル銃の特訓に励んだ。彼の難聴はオートパイや
カーレースの爆音のせいと言われていたが、本当の原因はこれなのだ。完璧なガンプレーをマスターしたマックイーンは、並みいるCBSの重役たち
の前でデモンストレーション。あまりの鮮やかさに度肝を抜かれた重役連もその場で真似してみたが、全員指に血マメを作るだけだったという。
ただ、ソウドオフしたランダル銃は完全な違法銃。しかし、そこはアメリカ。連邦政府に対して、1丁につき500ドルの不法銃器製造税と登録税200ドル
(これに銃本体価格と加工代の400ドルがプラスされるから1丁1,100ドルと相成る)を支払うことでクリアし、番組は順調に滑り出す。
マックイーン扮するジョシュ・ランダル(声=主に宮部昭夫。他に大辻伺郎)が暗がりから現れ、ランダル銃を腰だめで連射するタイトル!
マズル・フラッシュの凄さが、のっけからランダル銃の威力を強烈に印象づけた。もっとも読者諸氏もよく御存知のように、ランダル銃を取り巻く
すべてが荒唐無稽。M92なのは目をつぶるにしても、ベルト・ループに差しているのはスプリングフィールドのカートリッジ。これをローディング
したり、カットこそ変えてあったが、10発以上連射なんてシーンもあって、開いた口が塞がらない。嘘っぽく見えなかったのは、ひとえにマックイーン
のガンプレーのおかげだ
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